国際連合総会決議68/262(こくさいれんごうそうかいけつぎ68/262)は、2014年3月27日にロシアによるクリミアの併合の無効性について採択した国際連合総会決議である。賛成が反対を大きく上回り、採択された。
経緯
2014年2月28日にウクライナ国連大使のユーリー・セルゲイエフが安保理に安保理の緊急会合の招集を求める訴状を提出した。訴状によると「ウクライナの領土保全を脅かすクリミア自治共和国における状況の悪化」が緊急会合を求める理由とされていた。訴状が提出された28日の午後に安保理理事国は非公式に会合を行い、安保理議長国であったリトアニアの国連大使ライモンダ・ムルモカイテは「安保理は最近のウクライナでの事態の進展について懸念を持って検討している」と発言した。
3月15日、ウクライナによる訴状を受けて安保理の会合が開催された。この会合ではアメリカにより提出された2014年クリミア住民投票を無効とする趣旨の安保理決議案が採決されたが、これは安保理常任理事国のロシアによる拒否権行使で否決された。安保理での決議案が否決されるとウクライナは総会決議68/262の草案(A/68/L.39)を各国に配布しはじめた。国連総会決議には安保理決議と違い法的拘束力はないが、この草案はアメリカが作成した安保理決議案とほぼ同趣旨のものであった。
3月27日に行われた第68回国連総会本会議において上記決議案の投票が行われ、賛成100カ国、反対11カ国、棄権58カ国で採択された(#賛否も参照)。採択後ロシア外務省はウクライナとともに決議採択を主導した西側諸国を批判する声明を発している。
決議内容
この決議は「ウクライナの領土保全」(英語原文 : Territorial integrity of Ukraine)と題され、ロシアを名指しすることはしなかったものの、ロシアに圧力をかけるものであった。その主な内容は以下のものである。
- ロシアがクリミア自治共和国とセヴァストポリを併合する上で根拠とした2014年3月16日の住民投票の無効。
- 全ての加盟国、国際機関、国連専門機関に対して、武力の行使や威嚇によってウクライナの国境線を変更したり、ウクライナを分割するクリミア半島の地位変更の不承認。
- 関係国に対する政治的対話による状況の速やかな平和的解決。
賛否
出典
外部リンク
- A/68/L.39 (PDF) (英語) - ウクライナが提出した国連総会決議の草案
- S/2014/136 (PDF) (英語) - ウクライナ国連大使ユーリー・セルゲイエフが安保理に提出した訴状

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