スコットランドの衣類』(スコットランドのいるい、原題:Vestiarium Scoticum: from the Manuscript formerly in the Library of the Scots College at Douay. With an Introduction and Notes, by John Sobieski Stuart、スコットランドの衣類 ドゥエーのスコットランド修道院の図書の写本から、ジョン・ソビエスキ・スチュアートによる紹介とノートと共に)は、エディンバラのウィリアム・テイトにより1842年に限定版として出版された書籍である。ジョン・テルファー・ダンバーは彼の「スコットランド高地のドレスの歴史」というセミナー講演の中で「これまでに書かれたなかで最も論争を巻き起こした衣類の本」と言及している。

この本そのものはスコットランドの氏族のクラン・タータンを描いた古い写本の、カラーイラスト付きの、再出版であるとされた。

出版されて間もなく、この本は偽造品であると非難され、出版者でボニー・プリンス・チャーリーの孫であると主張したスチュアート兄弟は詐欺師だと非難された。今日、兄弟についても、また「スコットランドの衣類」についても彼らが主張していたようなものではないと広く認められている。

しかし、この本のスコットランドのタータンの歴史における役割は非常に大きく、多くのデザイン・パターンが「公式の」タータンとなっている。

背景

『衣類』の1842年版は、1820年代後半から書き始められた。スコットランドのモレーに住んでいたソビエスキ・スチュアート兄弟は、タータンのパターンを含んだ記録の写しを作り、彼らの主人トーマス・ディック・ローダー卿(en)に見せた。しかし、この写本は、後に出版された『衣類』の元本であると主張されたものではなかった。

1842年版の序文で説明されているように、トーマス卿が見せられた(今日クロマーティ写本として知られる)写しは1721年と最初のページに記載されタイトルは『Liber Vestiarium Scotia(スコットランドの衣類の本)』であり、クロマーティのジョン・ロスなる人物が所有していたもので、初期の写本の劣化した写しであるとされた。

この序文において、1842年版は、1571年(またはそれ以前)に書かれ、その当時はロス司教ジョン・レスリー(en)が所有していたオリジナルの写本(今日ドゥエー写本として知られる)に基づいていると主張している。このドゥエー写本はこの序文の著者によって「最古で最も完全な」『衣類』の写本であるとされている。一度はロス司教が所有し、その後、ドゥエーのスコッツ・カレッジの所有となった。そこから、1750年代初頭にスコッツ・カレッジを訪れた際にボニー・プリンス・チャーリーがこの写本を手に入れて所有していたと考えられていた。

ローダーとスコットの書簡

トーマス卿はこの本を見てすぐに、ウォルター・スコットにこの本について手紙を書いた(手紙の日付は1829年6月1日)。この手紙において、トーマス・ローダー卿はこの本を高く評価しており、クリュニー・マクファーソンやマクロードなどの氏族長がそこから「まさしく本物の」タータンがわかると言っている、と書いている。ローダーは詳細にこの写本について記述しており、その本に掲載されているタータン全て(約66柄)の図柄と色が分かるとし、そのうちのいくつかをウォルター・スコットに送っている。タータンの生地に加えて、この本は女性用の格子柄(arisaids)およびタイツとトルーズ(ズボン)に関する別表がついていた。最後に、ローダーは兄弟にこの本の出版を急がせ、費用と手段について尋ねている。出版の計画が決められ、タータンの色とパターンの生地見本が載せられることになった。

1829年6月5日の返信で、スコットはソビエスキ兄弟と写本についての疑念を述べており、同時に古物の鑑定人に調査してもらうため、写本の写しを送るように求めている。特に、低地の人びとがタータンや格子柄を身につけていたという主張に異論を唱えており、レスリー司教がその写本の原本を一時所有していたといわれているものの、どのレスリー司教の文書の中にも書かれていないことなど、裏付ける証拠がないことに疑問を呈している。また、兄弟の出自の信ぴょう性についても疑問視している。また、その題「Vestiarium Scotia」が「間違ったラテン語」であるともしている。

1829年7月20日、トーマス卿は、ウォルター卿に返信を書いた。この返信の中で、トーマス卿は、かつて兄弟の父親がロンドンで所有しており自身が見せられた1721年の写本のもととなった1571年の(と伝えられる)原本について述べている。トーマス卿は兄弟の性格、信ぴょう性、および社会的評価についても述べており、「兄弟の過剰な理想主義(Quixotism)は、世の中の古物研究に関する事柄を語るには非常に不幸な個性である…」と認めている。それでもなお、トーマス卿はこの写本の信ぴょう性について信じていることを再び主張しており、「間違ったラテン語」についての議論やおよび低地地方におけるタータンの使用についての推測も述べている。

1829年11月19日のスコット卿からローダー卿への最後の書簡において、スコット卿は再びこの本の信ぴょう性について否定しており、低地地方の人びとがクラン・タータンを着用していたという見解も否定している。スコット卿はクラン・タータンに関する見解について完全に否定しており、「タータンによって氏族を区別するというのは現代の流行でしかない…」としている。

『スコットランドの衣類』の出版

『スコットランドの衣類』は最終的に1842年出版された。その概要は以下のようである。

  • 序文、写本の由来が、推定される作者および制作年代とともに書かれている
  • クラン(氏族)一覧
  • 序論
  • 本文(テキスト)
  • タータンの模様と色、クランおよび家系とタータンの一覧が示されている
  • カラー図版 - 前章で述べられたクランおよび家系のタータンのカラー図版75枚

タータン

この本に示されているタータンは2つのセクションに分けられていた。最初に「高地(ハイランド)氏族」が、それにつづいて「低地の一族およびボーダー氏族」が示されている。下表には、この本で示されているスペリングの氏族名(括弧内)と、それに続いてスコットランド・タータン協会ナンバー(TS#)および現在の織り目数が示されている。これらは公式なクラン・タータンではないかもしれないことに注意を要する。例えば、キャンベル氏族のタータンとして示されているものは、「アーガイルのキャンベル」(Campbell of Argyll)として知られているが、これは6代アーガイル公爵のみが着用したものである。基準的なキャンベルのタータンはブラック・ウォッチ(en)・タータンである。

高地(ハイランド)氏族(Hieland clannes)

低地(ローランド)氏族(Low country pairtes)

ボーダー氏族(Bordovr clannes)

『クォータリー・レヴュー』

1847年6月、『クォータリー・レヴュー』に『Vestiarium Scoticum』のかなり批判的な批評が掲載された。もともとは匿名で掲載されたが、現在ではその著者はグラスゴー大学のジョージ・スケーン教授とハイランド協会のゲール語辞典の編者マッカイ博士であったと分かっている。

その記事はジョン・ソビエスキとチャールズ・エドワード・スチュアートによる『The Tales of the Century』という本の出版が原因であった。その内容は、事実に基づかない表現ではあるものの、若僭王プリンス・チャールズ・エドワードの直系の子孫であるという著者の主張を述べている。この『クォータリー・レヴュー』の記事は、名目上はこの主張に対する反応であるが、実際には主に『Vestiarium Scoticum』の信ぴょう性の調査からなっていた。

1848年、ジョン・ソビエスキ・スチュアートは自身の『The Genuineness of the Vestiarium Scoticum(Vestiarium Scoticumの信ぴょう性)』という論文の中で、『クォータリー・レヴュー』の記事に反論している。この中で、スチュアートは1721年版の調査を提案している。スケーンはかつてロス司教が所有していたといわれるその原本が公表される希望を述べた。最終的に、その時に1721年版を調査した人物の記録は残っておらず、ソビエスキ・スチュアート兄弟以外ロス写本版を見たものはいない。

1895年、グラソー・ヘラルドは、アンドリュー・ロスによる『「Vestiarium Scoticum」は捏造か?』という題の記事を出版した。ロスは1721年版は探すことができたが、それ以前の写本は見つけられなかった。ロスは1721年版について詳細な記述をしており、化学者スティーブンソン・マカダムにより化学的調査が行われた。マカダムは「この資料は題にあるよりもより年代を経ている様に見せるために化学薬品が用いられた痕跡がある」と報告した。そして、「この写本を古い時代の資料とすることはできない」と結論付けた。

この1721年の写本は、調査のため化学会社の取締役ロバート・アーバイン氏にも提出されたが、「これが書かれた年代を示す正確な結論に達するのは不可能」である、と報告している。

以前に、『The Tales of the Century』の第二版の出版の話があったが(初版は、数十部しか出版されなかった)、実現しなかった。

脚注

参考文献

外部リンク

  • この本は現在バーンズ・ハウスにある[1]
  • Scottish Tartans World Register
  • Scottish Tartan Authority

スコットランドの衣類 Wikipedia

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