ポーリ嚢(ポーリのう、英: Polian vesicle)とは、棘皮動物の水管系の歩環管上にみられる袋状の器官であり、水管内の水溶液中に浮かぶ変形細胞を形成する。この小胞は、ヒトデ、ナマコ、クモヒトデなどの棘皮動物の種類によって数や形態が異なる。例えば、ヒトデでは5つ、クモヒトデでは4つ以上、ナマコでは1つから50ものポーリ嚢が存在する。

構造と機能

外側から順に外部の腹膜上皮、結合組織層、筋層、内側の上皮という4つの層から構成されている。これらの上皮細胞はゴルジ体を介して多糖類を生成し、細胞間結合は広範な接着帯(英: zonula adhaerens)と頂端の分節デスモソームから成り立っている。また、表面には微絨毛と繊毛が存在し、基底膜は欠如している。筋肉層はパラミオシン繊維で構成され、結合組織層にはコラーゲン繊維が豊富に含まれ、これらは酸性ムコ多糖類マトリックスに埋め込まれている。

主な機能は、水管系内の圧力を維持し、体液の予備供給源として働くことである。これにより、棘皮動物は効率的な運動や呼吸、摂食活動を行うことができる。また、ナマコのポーリ嚢は、造血や炎症反応にも関与しており、病原体に対する免疫応答に重要な役割を果たしている。

種による違い

存在や数は、棘皮動物の種によって異なる。ヒトデでは、放射水管の間に筋肉質の嚢として存在し、通常5つのポーリ嚢が見られる。クモヒトデでは、4つ以上のポーリ嚢があり、ウニでは5つの構造がポーリ嚢またはスポンジ状の体として知られている。一方、ウミユリにはポーリ嚢が存在しない。

免疫機能

ナマコにおいて、ポーリ嚢は免疫応答において重要な役割を果たしている。例えば、マナマコ(Apostichopus japonicus)のポーリ嚢は、病原体であるVibrio splendidusに対する感染時に、トール様受容体(TLR)シグナル伝達経路、補体および凝固カスケード、抗原提示、IL-17シグナル伝達経路などの免疫関連経路が活性化されることが、トランスクリプトーム解析によって明らかにされている。

さらに、Holothuria poliiのポーリ嚢は、抗原刺激に対して顕著な構造変化を示し、炎症反応器官として機能することが報告されている。これらの構造変化は、非自己物質を体外へ排出するための生存戦略として、ブラウンボディの形成を伴う。

出典

関連項目

  • 八戸地域大規模断水事故
  • 水管系
  • 水管橋

Poria fungus at Indiana Mushrooms

コフキサルノコシカケ、木から生えるクッパのくちびるキノコ

Polyporus arcularius at Indiana Mushrooms

Polyporus arcularius at Indiana Mushrooms

胞子嚢の採取について ビカクシダの森