ニンバスまたはニンブス(ラテン語:nimbus、フランス語:nimbe、英語:nimbus、ドイツ語:nimbus)
ギリシア神話では、神が地上に現れたときに、その身を輝く雲(光雲)がとりまいているという。ラテン語のnimbusには「雨雲」「(一面の)煙」「大群」「豪雨」などのほか、聖像などの後光・光輪の意味がある。ここから派生して、宗教芸術分野における「後光」「光背」「光輪」や「オーラ」(オーリオール)「ハロ」(「ヘイロー」)などに相当し、気象分野では雨雲を表す語などに用いる。
宗教・美術分野
宗教美術や図像学の分野の用語。
キリスト教美術の文脈では神や天使・聖人・使徒などの頭部や背部に円形で描かれる表現を「ニンブス」(ドイツ語の「ハイリゲンシャイン(Heiligenschein)」、英語の「グローリー(glory)」に相当)という。円輪もしくは円盤状で、黄金色で描かれることが多い。
2世紀の図像から登場し、時代により表現に変化がみられる。イエス図では2世紀に登場するようになり、3世紀になるとほぼ必ず描かれるようになった。5世紀には聖母マリアや使徒の図像にも登場、イエスには十字架型のニンブスを描いて区別するようになった。6世紀に入ると天使・聖人にも描かれるようになった。8世紀から9世紀のイタリアでは、存命中の高僧や王の図に方形状のニンブスが描かれた。とくに全身を包むように描かれるものを「aureole」(オーレオール、オリオール)という。
美術表現としては、キリスト教に先立ってヘレニズム期のオリエント・ローマ美術にもみられる。仏教美術では「光背」「光輪」「頭光」などと言い、キリスト教の「オーラ」「ニンブス」などの日本訳語にもこれらの語があてられている。
気象分野
気象分野・気象学では、雲、とくに雨をもたらす雨雲に関連する辞として用いる。単に「雨雲」の意でも用いる。
- cumulonimbus(cumulus + nimbus) - 積乱雲(入道雲)
- nimbostratus(nimbus + stratus) - 乱層雲
- cumulonímbus cálvus - 無毛雲
など
- 暈(ヘイロー) - ニンバスとも呼ぶ大気光学現象
アメリカの気象衛星
アメリカ合衆国ではもっぱら気象の観測に用いる人工衛星に「Nimbus」(ニンバス)と命名(ニンバスシリーズ)、1964年の1号から1978年の7号まで打ち上げられた。
- ニンバス (人工衛星) - アメリカ合衆国の気象衛星
その他の例
- ニンバス (1910年生の競走馬)
- ニンバス (1946年生の競走馬)
- ニンバス (バラ) - バラの品種
- ニンバス・ローマンNo.9 L - フォント
- ブリストル・シドレー ニンバス - ターボシャフトエンジン
- ニンバス・レコード - クラシック音楽を専門とするイギリスのレコード・レーベル。
- ニンブス (オートバイ) - デンマークのオートバイメーカー(1919 - 1960)。
関連項目
- ニンバス2000、ニンバス2001 - 『ハリー・ポッターシリーズ』に登場する魔法のほうき。ハリー・ポッターシリーズの魔法のほうきを参照。
- ニンブス・フィルム
- Nimsoft(旧名: Nimbus Software)
脚注
注釈
出典




